火災保険に加入している人は多いと思いますが、自分が加入している火災保険の内容を把握している人ってどのくらいいますか?
とは言え、保険という役割と支出という面と考えると、しっかり内容を把握して保険としての活用をできるように、今回の記事が役に立ってくれたら嬉しいです。
火災保険とは
火災保険とは、住宅や工場・店舗など「建物」に対して補償したり、家具家電や什器備品などの「動産」に対して補償する保険になります。
保険の対象ごとに火災保険に加入する必要があります。
ここの章で火災保険の基本的な知識から解説していきます。
火災保険どこで加入できる?
もしかしたら、火災保険に加入しようと思って加入するよりも、住宅購入時やアパートに入居時など、ほぼ自動的に火災保険に加入した、って経験の方が多いかもしれませんね。
まずは、火災保険どこで加入できるかを知ってもらい、今後見直すときの参考にしてください
銀行など金融機関
住宅ローンを申し込むときに金融機関から火災保険の提案が必ずありますよね。
信用金庫やJA、ろうきん関わらず、火災保険の取扱いがあります。
万が一時に住宅ローンによる負債を補填するためにも必須となっているため、このタイミングで火災保険を検討する人も多いですね。
住宅メーカー、工務店など
住宅に関わる業種なので、当然火災保険の取扱いしている住宅メーカーも多いですね。保険専任担当者がいるか兼任かで保険に関するスキルは差があるかもしれません。
メリットとしては、万が一時に修理依頼と保険請求の窓口がひとつで済む点でしょうか。
不動産屋
不動産も住宅と密接に関連する業種なので、取扱いしているケースは多いです。建物というより賃貸用の火災保険をメインにしているケースが多いかもしれません。
専業保険代理店
保険代理店というくくりでは、金融機関も住宅メーカーなども保険代理店という立場で火災保険の取扱いをしています。専業の場合、保険のプロになりますのでお客さまに合わせたプランの提案と幅広い相談に対応できます。
ネット型保険
ネット上で簡潔に手続きができるため安価で加入できる反面、補償内容は自身で判断しなければなりません。
ある程度フローチャートで適したプランを選択できるようにはなってますが、相談する先がないのがネックです。
火災保険の種類
火災保険には目的物や使用用途に応じて保険の種類は変わります。
- 住宅用火災保険・・・住宅物件と住宅兼店舗のような一般物件があります。
- 事業用火災保険・・・工場や店舗など事業に利用している物件で、工場物件と一般物件で分けられます。
- 賃貸用物件・・・アパートやマンションなど入居者用の保険です。
- 空き家物件・・・空き家の場合は加入の方法に注意が必要です
それぞれ保険料を決める料率に差が生じます。
基本的な保険料水準のイメージは下記の通りとなります。
工場物件 > 一般物件 > 住宅物件
⇦保険料高い 保険料安い⇨
※空き家物件は一般物件になります。
また、構造によっても料率は変わります。
構造には、「鉄骨造」「軽量鉄骨造」「省令準耐火構造」「木造」などがあります。木造が一番保険料が高い水準になり、鉄骨造との保険料差額は倍以上になるケースもあります。
火災保険でもらえるお金の話
支払いする事故 | 事故の例 |
---|---|
火災・落雷・破裂爆発 | 火災により建物が消失、落雷により家電製品がこわれた、など |
風災・雹災・雪災 | 台風などで窓ガラスが割れた、台風で窓ガラスが割れて家財が損害受けた、など |
水濡れ | 給排水設備の破損により部屋が水浸し、上階からの水漏れで家財が水浸し、など |
盗難 | 泥棒により窓ガラス破損、泥棒により現金が盗まれた、など |
水災 | 大雨による洪水で床上浸水した、土砂崩れによる床上浸水で家財が損害、など |
破損、汚損等 | 自動車が飛び込んできて建物破損、テレビを誤って落として壊した、など |
地震・噴火・津波 | 地震で建物、家財が損壊、地震による津波で建物が流された、など |
結局、破損汚損ってどうなの?
先程の一般的な補償の中にある、「破損汚損」って聞いたことありますか?補償の一つとして見たことあるかもしれませんが、便利な補償の一つではあるので、まずはどんな補償なのか事例を交えながら解説していきます。
破損汚損ってどんな補償?
簡単な言葉に変えると、「わざとじゃなくてたまたま壊してしまった、汚してしまった等」の補償をするということです。
え、そんなので火災保険の対象になるの!?と反応される方もいるかと思います。
ただし、後半の注意点はよく読んでおいてください。
基本的には建物・家財・什器備品など、火災保険で加入している対象物に対して補償することができますが、保険会社によっては免責設定に違いがあります。
免責とは、保険金を受け取る際の自己負担分ですね。
例えば、10万円の損害があって免責を1万円で設定していた場合。自己負担分が1万円なので保険金として受け取るのは10万円ー1万円で9万円ということになります。
また、火災保険の支払い件数なども保険会社で公開されていますが、火災保険の支払い件数トータルのうち、30%〜40%を占めるのが「破損汚損」特約だったりします。火災や落雷はそうは言っても、常にあるわけではなく数%程度の件数です。
破損汚損の事故事例
破損汚損がどんな補償か解説しましたが、とは言え実際のイメージがまだわかないと思いますので、ここでいくつかの事例を紹介します。
- コーヒーをこぼして床がシミになってしまった
- 電球替えようと脚立登ったら、滑って床を傷つけてしまった
- 模様替えとテーブル動かしたら誤って壁にぶつけてしまった
- 子供が遊んでて、おもちゃを投げたらガラスが割れてしまった
- 手が滑ってカメラを落として壊してしまった
- ドアノブにスーツを引っ掛けて破いてしまった
などなど、挙げだしたらキリがないかもしれません。
- コードに足を引っ掛けてパソコンが落ちて壊れた
- 切削加工機の設定ミスでヘッドが割れてしまった
- 工場の掃除中で水がはねて機械が壊れてしまった
- お店のお客さんがつまづいて倒れてテーブルを壊してしまった
- 美容室でハサミを落として欠けてしまった
- 器具を取り出すとき誤って落として洗面台を割ってしまった
お店などお客さんに請求しづらい時は、火災保険を活用するしかないケースもあります。
破損汚損の保険金請求の手順
保険会社やネット型保険か代理店かによっての手順に多少の違いはあるかもしれませんが、大まかな流れをここで解説します。
慌てず、怪我などの二次被害がでないようにして、損害物の写真を撮ってください。
全体が映るように1枚、損害箇所が分かるように1枚。見た目の損害が分からない場合は、全体の写真のみでも大丈夫です。
加入の保険会社に事故の連絡をしましょう。なるべく詳細に伝えること。
保険会社が最初に判断するのは、加入の火災保険内容で保険の対象になるのかどうか。原因をはっきり伝えることです。
損害の見積もり作成を依頼します。保険会社には、写真と見積もりの提出が必要になります。
原因が不明瞭だったり、損害額が高額になる場合は現場の立ち合いが必要になるケースもあるので、保険会社に確認をするようにしましょう。
保険会社所定の書類に記入して送付します。書き方がわからない場合は保険会社か加入の保険代理店などの聞いてみましょう。
提出した写真と見積もりを元に、保険会社の査定結果が提示されます。
金額を了承すれば、保険会社は示談完了とし支払い手続きに進みます。
まず査定金額の根拠となる試算を提示してもらうように依頼しましょう。
それでも納得いかない場合は、修理業者と相談して保険会社に交渉する必要があります。
通常、示談完了して保険会社が支払い手続きをしてから3営業日か4営業日後には、着金になってます。
火災保険で気をつけること
火災保険も冒頭お伝えしたように銀行や住宅メーカー、ネット型保険などさまざまな販売店で加入することが可能です。
よく分からないからお任せしたいと考える方も一定数おりますが、自分の資産を守るための大切な火災保険なので、失敗のない選択できるように気をつける点を3つ案内します。
保険金詐欺に注意
ここまでの解説で、破損汚損がどんな時に使える補償かは把握できたかなと思います。
もしかしたら、気づいた方いらっしゃるかもしれません。
「わざとじゃなく、偶然破損した汚損したって保険会社はどうやって分かるの?」
ここがいわゆる「モラルリスク」という点になります。
モラルリスクとは保険業界用語で保険金、給付金の不正取得を目的とする道徳的危険である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
事故の報告を受けた時にわざとか、わざとじゃないか正直保険会社は分かりません。
お客さまの報告通りに受け付けるしかないので、モラル意識をもって活用するとこが大切です。
小さい金額だしいいだろう、言わなきゃ分からないしいいだろう、と安易に考えてしまうと、たとえ1,000円の請求だとしても立派な保険金詐欺に該当してしまいます。
なので、何か事故が起きた時に保険金の対象になるか自身で判断せず、加入の代理店などに必ず相談することをオススメします。余計な疑い受けるのも気分悪いですからね。
火災保険の使いすぎに注意
自動車保険は事故起こして保険を使用すると、翌年から等級ダウンして保険料が上がります。
火災保険に関しては、基本的にはどれだけ保険を使用しても保険料が上がることはありません。ただし、慢性的にもしくは高額な保険金請求が続いたりすると、更新時に条件がついたり、最悪の場合更新の引受不可とされる可能性があります。
破損汚損が便利に使える補償だからと言って、濫用してしまうのはオススメしません。事故が起きないように予防するとともに、万が一時の補償が保険という金融商品だということは忘れないようにしてください。
火災保険のよくある質問
まとめ
火災保険に加入するときにどのように選べばいいかの一つとして破損汚損について解説させていただきました。
破損汚損の事例を見ることで、補償内容の理解から請求の手順までを知っていただき、保険を便利に活用できるようになったのではないでしょうか。
昨今、想定外の自然災害が多発しており、僕の立場では「この辺は大丈夫でしょ」とは言えなくなりました。
事実、僕の住む地域は自然災害が少なく、街を流れる河も整備が進んでおり、洪水なんて誰もがあり得ないと思ってる中、台風による集中豪雨で洪水被害は発生しました。
保険は何かあった時に生活への影響を最小限に抑える役目があります。
今後そのような背景もあり、火災保険の保険料は増加し続ける傾向にあります。
保険料負担をいかに抑えるかの前に、どのような補償で備えればいいのかを念頭において間違いのない火災保険の活用をしていただけたらと考えています。
今の時代、ネット上に情報はたくさんありますが、プロの視点で見る保険の在り方も知ってみてください。相談するだけなら無料でできます。安心を買うための最低限の知識をつけて、万が一に備えましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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