生命保険の必要保障額、計算式と決め方の順番

相談を受けていて、はじめて生命保険を考える方が最初に迷うのは「結局、どれを選べばいいの?」というところ。医療保険、がん保険、死亡保険、就業不能保険…種類が多くて、調べるほど分からなくなる感覚は自然なもの。毎月お金がかかるものだからこそ、適当に決めたくない気持ちもよくわかる。
この記事でわかること
  • 商品比較の前に整理しておきたい「必要保障」の考え方
  • 死亡保障の必要保障額を計算する式
  • 医療・がん・就業不能を考えるときの不安の分け方
  • 必要保障から整理したほうがいい人の特徴

相談の現場でも「勧められるまま入って大丈夫なのか不安」「でも足りないのも怖い」「用語が難しくて何を見ればいいのか分からない」という声はよくある。焦って商品比較から始めなくて大丈夫。大切なのは何を選ぶかの前に、何のために考えるかを整理すること

この記事の内容

商品を比べる前に、先に決めたいこと

はじめて生命保険を考えるとき、多くの方は商品や保険料から見始める。でも、本当は順番が逆。先に整理したいのは、あなたや家族にとってどれくらいの保障が必要なのか。ここが決まっていないと、商品をいくら比べても決めにくい。比べる基準がないまま比べている状態だから。

同じ「死亡保障がついている保険」でも、必要な金額や期間が分からなければ、その商品が高いのか安いのか、合っているのかも判断しづらい。情報が多い時代だからこそ、比較の前に判断軸が必要。実際の見直し相談でも、20代独身で死亡保障3,000万円に加入していたり、特約が満載で保障内容を把握できていなかったりと、払えるかどうかでしか判断していないケースはよく見かける。

保障ありきでも、保険料ありきでも考えない

保険を考えるとき、迷い方は大きく2つに分かれる。「不安だから、とにかく手厚くしておきたい」という考え方と、「毎月の負担が気になるから、とにかく安くしたい」という考え方。でも、どちらから入ってもあとでズレやすい。

保障ありきで考えた場合
  • 不安が先行して、必要以上に保障が大きくなりやすい
  • 保険料の負担が重くなり、家計を圧迫しやすい
保険料ありきで考えた場合
  • 安さを優先するあまり、必要な備えが抜けやすい
  • 保険料の実額しか見ておらず、中身を把握できていないことがある

だから大切なのは、保障からも保険料からもいったん少し離れて考えること。まず見るべきは「何のための保障なのか」「どんな状態になったときに困るのか」「そのとき家計にどれくらい影響が出るのか」という目的。目的から逆算して、家族の状況や経済状況も見ながら考える。その順番だからこそ、納得感のある内容につながりやすい。

最初に決めたいのは「誰の生活を、いつまで、いくら守るか」

必要保障を考えるときは、まずこの3つで整理すると分かりやすい。

1

誰の生活を守りたいのか

万が一のときに生活に影響が出る人を考える。配偶者、子ども、自分自身。扶養家族がいるのか、自分の収入が止まると困る人がいるのか。ここで保険の必要性はかなり変わる。

2

いつまで守る必要があるのか

子どもが独立するまでなのか。住宅ローンの負担が大きい期間なのか。働けなくなった場合に回復までの数年をカバーしたいのか。ここが決まるだけでも考え方は整理しやすくなる。

3

いくら必要なのか

死亡保障の場合、考え方はざっくりで大丈夫。感覚ではなく、基準点をつくるための計算式を使うとイメージしやすい。

必要保障額の目安(2026年時点の考え方)
必要保障の目安 =
(遺された家族の毎月必要額 × 必要期間)
−(遺族年金などの公的保障)
−(貯金)

※遺族年金など公的保障の金額・制度は今後変わる可能性があるため、あくまで2026年時点の考え方として参考にしてください。

この式は完璧な数字を出すためのものというより、感覚ではなく基準点をつくるためのもの。最低限の数字が見えてくると、「何をどれだけ保険で埋めればいいか」が見えやすくなる。

医療・がん・就業不能は「不安の種類」を分けると整理しやすい

死亡保障は家族の生活を守る考え方が中心。一方で、医療・がん・就業不能は少し見方を分けると考えやすい。全部をまとめて「なんとなく不安」と考えると、必要以上に広く備えたくなってしまう。まずは不安の種類を分けてみる。

不安を3つに分けて考える
  • 自己負担への備え:入院や治療で手元のお金がどれくらい減ると不安か。貯金で吸収できる範囲か、保険で備えたほうが安心か
  • 収入減への備え:働けない期間が長引いたとき、生活費はどうなるか。特に自営業など収入減の影響が大きい働き方の方は分けて考える意味がある
  • 治療の選択肢への備え:先進医療や自由診療など、治療の選択肢をどれくらい広げたいか

この3つを分けるだけでも、必要な保障はかなり見えやすくなる。全部を保険で埋めようとすると、ムダが増えやすい。大切なのは、不安を大きなひとかたまりで見るのではなく、何が不安なのかを分解して必要なところだけ備えること。

よくあるのは「誰かに勧められた基準」で考えてしまうこと

はじめて保険を考えるときは、自分の基準がまだない。知人に勧められたから、なんとなく有名だから、安いと聞いたから、逆に手厚いと安心そうだから。こうした理由で決めたくなること自体は悪いことではない。ただ、そこに自分の目的が入っていないと、あとで「本当にこれでよかったのかな」となりやすい。

実際にあった見直し相談の例
勧められるまま加入していた生命保険を見直したところ、目的と合っていない保障や特約があり、目的から逆算し直したことで納得感のある内容になったケース

※よくある相談の一例です

焦って決めなくて大丈夫。まずは次を整理してみるところから。

  • 自分にとって、いちばん困るのはどんな状態か
  • そのとき、家計にどれくらい影響が出るか
  • 公的保障や貯金でどこまでカバーできるか
  • それでも足りない分だけ、保険で備えるとしたらいくらか

ここまで見えてくると、商品比較はかなりラクになる。

こんな方は「必要保障」から整理するのがおすすめ

次のどれかに当てはまる方
  • 扶養家族がいる
  • 住宅費が家計の固定費の中心になっている
  • 貯金が生活費6か月分に満たない
  • いつまで保障が必要なのか決まっていない
  • 医療・死亡・就業不能の優先順位が曖昧

こうした状態で商品比較から始めると、選ぶこと自体が目的になってしまいやすい。でも本来の目的は「自分や家族に合った備えをつくること」のはず。

石井の一言

相談の現場では、商品からではなく家族の状況や想いから聞いてもらえると安心する、という声をよく聞く。数字は根拠のある提案をするためのものであって、最終的に自分で判断できる状態をつくるのが僕の役割だと思ってる。

まとめ

生命保険は、商品をたくさん知っている人ほど上手に選べるものではない。大切なのは自分に必要な保障の量を先に決めること。誰の生活を守るのか、いつまで必要なのか、いくら必要なのか、そのうちどこまでを公的保障や貯金でまかなえるのか。ここが見えてくると、保険選びはかなりシンプルになる。「どれがいいか」ではなく「自分には何が必要か」から始めることで、無駄を省き必要なものを必要なだけ備えられる。

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この記事を書いた人

FP&IFA 石井修一です

資産運用 投資 IFA 相談 資産形成

<Profile>

有限会社マインズプランニング
代表取締役 石井修一

20代の頃にお金の知識がなく、今で言う超情弱レベルで苦労してきました。
仕事を通じてお金の教養をつけていく過程で、金融リテラシーの重要性を再認識し、IFAとして保険と資産形成のアドバイザー活動をしています。

趣味:グルメ巡り、旅行、甘いもの、ゴルフ、読書

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